【No.47】 ケルンキックオフトーナメント報告

昨年のドイツ研修でJキャンプが訪問したケルンキックオフトーナメントに、今年は日本のチームが参加するというので、行ってきました。 (昨年のドイツ研修についてはこちら)

今回もオランダ、ベルギー、デンマーク等の海外チームが参加、計20チームが3部にわかれてリーグ戦を行いました。「シーズン前のウォームアップとして最適な大会」(デンマーク選手)というこの大会は、試合そのものこそ真剣勝負であっても、終始なごやかなムードで行われていました。この会場まで車で8時間かけて来る海外選手にとっても、日本からわざわざ飛行機に乗って大会に参加しに来ることは想像外であったようで「日本のチームにはすごいスポンサーがついているのか?」「ドイツ在住の日本人じゃないのか?」と質問、興味は尽きず、なかでも車椅子(日常車、バスケ車ともに)への興味が高く、選手がいない間に日本人選手のバスケ車を囲んで語り合う姿を何度も目撃しました。

会場の学校は日本でいう小学校5年生から高校4年生までが通うGesamtschule(ゲザムトシューレ)。基本的に「市のスポーツ施設」というのが存在しないこの国では、スポーツクラブの練習、大会などの会場に学校の体育館が使われるため、この学校もそれを見越してつくられたのか各控え室(更衣室)にはシャワー・トイレが設置されていました。しかし学校設備への投資が削減されている状況も反映してか、お世辞にも「最新設備」とは言えず、体育館の床は明らかに波打っていたりするのですが、ドイツ人がよく言う「es geht(エス・ゲート)」(ま、大丈夫)の精神でそういった細かいことはあまり気にせずゆるゆると和やかに大会が進んでいく様子はいかにもドイツらしいと思いました。

昨年同様、入り口付近ではこれもまたドイツのイベントでは欠かせないソーセージとサラダ、プチパンのサンドイッチにケーキ等が販売されていましたが、なかでもサンドイッチにのったハムに「Haral(ハラール)」の表示をみた時にイスラム系住民も多い都市部の状況を思い、細やかな心遣いに主催者の思いやりを感じました。

これらの販売にあたる人、試合のスコアをつける人は基本的に選手の家族、親戚、友人などとのこと。これもまたドイツでは珍しい事ではなく、どこのスポーツクラブでも同様にイベントやリーグ戦(ホームゲーム)ではケーキやサラダを持ち寄って販売したり親が当番でお手伝いをしたりします。

こういったボランティアの確保を含め、大会運営、また今回は日本チームの受入に関して細かなやりとりを何度もしてくださったのはチームセクレタリーのゼーダートさん。彼は暖かな大きな手と色々なものをすっぽり包んでしまいそうな優しい笑顔を持っていて、どんな事を聞きに言っても静かな笑顔で対応してくださり、「彼がきてからチームが大きくなっていった」(現在Koeln99ersは4チーム+ジュニアチームを抱える大所帯)というのも納得できる人徳を感じました。大会2日間の中では彼のそれまでに行ってきた仕事量の全ては見えませんが、粛々と進んでいく様子をみてその大きさは想像でき、大変だろうけれどこれからも彼を中心にこのトーナメントが継続していくことを願ってやみません。
(ちなみに、ドイツ在住Jキャンプスタッフの伊藤由紀が長年所属していたのもこのチームです。今回はドイツのチームのアシスタントコーチとしてエントリーをしていました)

日本の選手の皆さんは、2部クラスに参戦。時差ボケもものともせず初戦から快勝を重ね、見事に2部クラス優勝を飾りました!ドイツブンデスリーグの審判の方からも「チェアスキルがとても高い。チームのムードもよく素敵なチーム」とコメントをいただき、試合の合間にはデンマークの選手より「どうやってティルティングをするのか?」と身振りで聞かれ、即席講習会が開かれたり、他のトーナメントへのお誘いがあったり“車椅子バスケ”という共通言語を持って、沢山の国のプレイヤーたちとコミュニケーションをとれた事は、ゲームで海外選手のプレーに直接ふれることとともに、今後の大きな糧になったのではないかと思い、そう願います。彼らも、この大会に参加するまで地道に渡航費用を集め、フライト・ドイツ国内での輸送の確保などなど色々な過程を経てトーナメントにたどりついたとのこと。最後まで諦めずに努力をしたこと、言葉の不自由な中でも挑戦しようという勇気に頭が下がる思いです。

実は今回参加した選手の皆さんは、全員がJキャンパー! またその中には、昨年5月に開催した「障害者スポーツとしての車椅子バスケットボールを考えるinドイツ 事前研修 (詳しくはこちら)に参加してくれた健常者プレイヤーもいました。ドイツリーグはすべての公式戦に健常者も参加することができるため、健常者プレイヤーにとっても非常にわくわくするような時間になったのではないでしょうか。 簡単にはいく道ではないけれど、今後も日本からのトーナメント参加があることを祈っています!

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ。2002-2006年、ファンダメンタルキャンプ参加。 現在ドイツ在住