【No.50】女性コーチアカデミー2016に参加して(2/3) 印象的なセッション

今回は私が参加した女性コーチアカデミー2016の中でも特に印象的だったセッションについてご紹介したいと思います。

<プロフェッショナルとしてのコーチング>
「何をコーチするかよりも「なぜ」コーチをするか。それが常に自分の中で答えることができれば、自分の進む道が自ずと見えてくる。 また「女性コーチであることの意味」は何か。私はこれまで働く環境、コーチをする環境に恵まれてきました。だから、それほどこの点について深く考えることがありませんでした。 でも、女性だから出来ること、女性である強みがコーチとして必ずある。 例えば、女性の視点でアスリートの事を考えられる、女性アスリートの体のことをより理解できる、女性アスリートの環境のことをより理解できる、など。 また、実際には女性の地位向上はまだまだ途上段階であることを改めて考えさせられました。 私が経験していない差別だけでなく、私が普段気にすることのない中に多くの問題が潜んでいることに気づきました。 例えば、「コーチ、監督」という言葉を聞いたとき、今でも多くの人が自然と「男性」を思い浮かべてしまうこと。女性コーチの絶対数が男性コーチより少ないこと。 その現実は若い女性たちにとってコーチを選択肢とすら思い描くことがなかったり、女性に必要な環境を整備することを困難にしていること、など。
(トランプ氏の大統領就任翌日の全米で起こった女性デモも、未だ潜んでいる問題を露わにしているかもしれませんね。)
その中でも、結婚をして家庭を築いていこうとする女性には、家事、出産、育児など男性と比べるとどうしても多くのバリアがあるのが現状です。 その中で、自分が理想とする形を追求し、それを難しくても諦めることなく実現するために努力していくことが、 自分だけのためでなく後に続く女性たちのためにもどれだけ重要かということを初めて感じることが出来ました。

<DISCプログラム>
アメリカで開発されたDISCプログラム。企業などの人材育成にも使われるようで、非常に興味深いものでした。 事前にDISCプログラムの質問にオンラインで回答し、そこから自分がどのようなスタイルの人間かが分析されます。 このセッションで重要だった点は、様々なスタイルの人たちとどううまく付き合っていくか、また相乗効果を生み出していくかを考えるということ。 自分の考えや価値観を変えることは簡単ではない。でも、相手を理解することでうまくやっていく方法を見出すことが出来る。 そして、自分を無理に変える必要もない。もちろんそれほど簡単にいくものではないけれど、こうやって客観的に具体的に見るという観点を持てたことが大きな収穫でした。

<スポーツにおけるダイバーシティ>
日本ではまだまだ聞くことが少ないダイバーシティ、特に性におけるダイバーシティの話に焦点が置かれました。 カナダでは同性愛者が比較的オープンであり、私の周りにも多くの同性愛者がいるためそれほど珍しい話ではないと思っていました。 でも、積極的にLGBTなどに関して学んだこともコーチとしてこの問題に取り組んだこともありませんでした。 セッションでは疑似体験をするアクティビティをしたり、実際ある問題や具体的な同性愛者の割合を聞いたりする事でこれまでよりも身近に感じなくてはいけないのだということに気づきました。 比較的オープンであるカナダでさえ、まだまだ偏見はあるし、同性愛者だけでなく性同一性障害をもつ人などオープンになれない人や問題を抱えている人が多くいます。 日本にも多くの同性愛者がいるということも学びました。
今後、自身がコーチをしていく上で少しずつでもこの問題に取り組んでいかなくてはならないと思いましたし、日本で活動していく中でも、 まずは少しずつ考えたり話し合ったりしていくことが必要だと感じました。

<ラウンジセッションと宿泊所での語らい>
アカデミーで一番印象的で、一番財産になったことが他の参加者や講師の方々とそれぞれの思いや悩み、 考えていることを自由に話し合うことが出来るラウンジセッションと宿泊所でルームメイトたちと語り合う時間でした。 もちろん、充実したセッションがあるからこそ、こういった場での話にも熱が入り、話が盛り上がったはず。 それぞれのスポーツで高いレベルで競技に関わっている人たちと、競技が違うからこそ、また女性同士だからこそ気兼ねなく話し合えたことは貴重な体験でした。 この時間がなければ仲間意識は生まれなかったと思うし、セッションの内容も十分に消化できなかったと思います。

次回は今回の経験を通して感じたことについてまとめていきたいと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ、通訳・国際事業担当。 日本にて車椅子バスケ各種大会や車椅子バスケ、車椅子ラグビーなどのキャンプで通訳として活動したあと渡米。 イリノイ大学大学院でスポーツマネージメントを専攻しつつ、同大車椅子バスケ部のマネージャー、アシスタントコーチをつとめる。 2008年夏に卒業後、現在はカナダ・バンクーバーのBC Wheelchair Basketball Societyにてプログラムコーディネーターとして働く。 また、これまでも趣味としてプレーをしてきたが、障害が無くとも公式戦に出場ができるカナダでプレーヤーとして活動しはじめる。 2011年に行われたU25女子世界選手権大会には日本代表チームのACとして参加。