パラリンピックもいよいよ9日目。
昨日は車いすバスケットボール女子の競技の最終日でした。
朝から7・8位決定戦、5・6位決定戦、そして3位決定戦、決勝戦と、いずれも好ゲームばかり。
わざわざロンドンまで来て試合を見た甲斐がありました。
結果です。
女子7・8位決定戦
メキシコ 37-59 イギリス
序盤はどちらかと言えばメキシコのペース。平均的な高さで上回るメキシコのパワーにややおされたイギリスでしたが、
第3Q残り3分からのFreemanとConroyの連続4本シュートインなどでいっきに逆転すると、
そのままイギリスが最後まで押切りました。
イギリスのエースに成長したHelen Freemanは16得点9アシスト9リバウンドの活躍を見せ、
この4年での成長をしっかりと印象付けてくれました。
女子5・6位決定戦
カナダ 70-73 中国
中国はこの日も立ち上がりからオールコートプレスを展開。
そしてカナダの大魔神・Janet McLacranをボックスワンのディフェンスで徹底的にマーク。
McLacranは身長が一番高いので、どうしてもリバウンドをとる役割になってしまうのですが、
そこを中国のローポインターがすかさずバックピックに行き、
ほとんどの時間、オフェンスに参加できない、という状態が続きました。
なんとか抜けていっても、さらにもう一度、二度、とヘルプのディフェンスが飛んできて、
もう本当に徹底的にマーク。
カナダも他の4人で4対4、または4対3のアウトナンバーで攻めようとしますが、
やはり攻撃力の低下は否めず、中国にリードを許します。
中国は攻めても7番Fu,4番Chen、14番Longがものすごい集中力を見せ、
それぞれ25得点、20得点、24得点の活躍。
最後までもつれた試合展開でしたが、
カナダがしかけたファールゲームに対して、ほとんどのフリースローを決めて見せた中国。
40分間、徹底してゲームプランを遂行し続け、かなりプレッシャーがかかった局面でも乱れないフィニッシュ力。
正直、今の中国にはエンドゲームになったら勝てないな、と感じました。
中国の成長は誰しもが認めるところではありますが、
今回のロンドンで数々の接戦をものにし、また負けてもかなり強豪を苦しめ、
最終的に5位を獲得した、というこの素晴らしい経験が、
さらに中国の強さを確実なものにすることは間違いありません。
日本は、これからは中国の背中を見て戦っていかなければならないことをきちんと認める必要があります。
女子3位決定戦
アメリカ 47-71 オランダ
アテネ・北京と2大会連続金メダルのアメリカが、3位決定戦に回ったこと自体が衝撃ではありましたが、
さらに3位決定戦では衝撃の結果が待っていました。
試合は序盤からオランダのプレスが効き、完全にオランダのペース。
アメリカはなかなかシュートに行けない苦しい時間が続きました。
終わってみれば、FG%はいずれも47%と同じなのですが、
打ったシュート数がアメリカの43本に対し、オランダは60本。
アメリカが喫したターンオーバーはなんと20.
こんなアメリカを見たのは初めてです。
でも、それはアメリカが悪かった、ということではなく、
オランダがとてもよかった、ということでしょう。
今後、脅威となるのは、その強いオールコートプレスだけでなく、
弱冠21歳のエース、15番のBeijerです。
この試合も27得点9リバウンドとチームを引っ張る大活躍。
要注意の若い選手がここにもいました。
女子決勝
オーストラリア 44-58 ドイツ
ここしばらくのパラ・世界選手権ではいつもアメリカに苦汁を飲まされてきたドイツ。
シルバーコレクターからの脱却をかけてオーストラリアと対戦しました。
オーストラリアはオーストラリアでブロンズコレクターと呼ばれるほど3位が続いていましたので、
互いの意地とプライドと金メダルへの思いがぶつかりあった決勝となりました。
序盤はオーストラリアのペース。
イギリス戦、オランダ戦とプレスに苦しんできたドイツでしたが、
この日もオーストラリアのいけいけプレスに序盤はなかなかシュートまでいけず、苦しい立ち上がり。
10番Schuenemannを4番Adermannに代えて少しずつブレークのリズムを取り戻していきます。
オーストラリアもディフェンスはよいのですが、オフェンスで惜しいシュートが続き、
特攻隊帳Crispinの得点も伸びていきません。
前半は19-26とドイツがリードして終了。
第3Qに入り、互いのディフェンスが強さを増して両チームともなかなか得点が決まりませんでしたが、
第4Qに入って一気にヒートアップ!
ガウチが入れたらミューラーが入れ返す、シェリーが決めればアニカが取り返す、という、
本当にパンチの打ち合いのようなシュート合戦!
女子でこんな試合見たことない!!!
観客も大興奮のラストクォーター、
オーストラリアもStewartに代えてHillを投入し、スピードで対抗しようと粘りますが、
勝利を確実なものにしたのは、
やはりドイツの若きスター・Adermann、そしてベテランの味・Mohnenでした。
見ていて本当に面白い決勝戦でした。
女子でもこのようなレベルの高い試合をみせてくれるとは!
いや、そういうことなんです。
世界はどんどん進化している。
こうやって書いてきても、各国とも20代前半の選手がそれぞれの国の中心選手として育ってきていることがよくわかります。
逆に、そこが弱いチームはなかなか勝ちきれない、という傾向もはっきりしてきました。
また、各国いずれも自分たちの戦力と相手の戦力を考えて、
各試合ごとにしっかりとゲームプランを立て、
そしてそれをしっかりと遂行する能力を身に着けています。
スピードはみんな速い。しかも大きい。
日本はこれから何を武器にしていけばよいのでしょうか。
銀メダルのオーストラリア、5位の中国を相手に、どのように予選を突破していくのか。
そこを突き詰めて考えていかなければ、今後は大きな世界大会に出場することすら難しくなってきそうです。
今日はいよいよ最終日。
男子の順位決定戦、3位決定戦、決勝が行われます。
スケジュールです。
7・8位決定戦 ポーランド対トルコ (日本時間21時)
5・6位決定戦 ドイツ対スペイン (日本時間23時15分)
3位決定戦 アメリカ対イギリス(日本時間27時)
決勝戦 オーストラリア対カナダ(日本時間29時15分)
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