London2012 Day8

おはようございます。ばなです。
昨日の大会8日目は女子の5-8位クロスオーバー戦の2試合と男女の準決勝の計4試合が行われました。

5-8位のクロスオーバーとは、準々決勝で負けてしまった4チームが
5位から8位までの順位を決定するために、
そこでもトーナメント戦をやるというものです。
最後まで順位決定戦があるので、負けたチームもモチベーションがない…などということがないのですね。

昨日のクロスオーバーの結果、5・6位決定戦に駒を進めたのは中国とカナダ。
カナダはメキシコに対し、第1Qで30-4と圧倒的な差をつけ、試合を決めました。
第2Q以降はメキシコも立ち直りましたが、最初の差を守り切ったカナダが勝利を収めました。

もう一つのクロスオーバーの中国対イギリスは個人的に注目の一戦でした。
準決勝進出を逃しはしたものの、依然として地元の大声援を受けて戦うイギリスに対して、
中国はどのような手を打つのか。

その答えは「オールコートプレス」でした。
前々日のイギリス対ドイツ戦で非常によいプレスディフェンスを展開したGBですが、
中国も負けてはいませんでした。
そういえば、オーストラリア遠征でノンカウントプレスを仕掛けてきたのを思い出し、
ちゃんと準備してたんだな、と思いました。

エース7番Fuが序盤から試合のペースを握る連続シュートを沈め、
主導権をがっちり握った中国。
その後も流れが行きそうになるとプレスをかけ、
ファールトラブルに見舞われた7番Fuを4番Chen、そして今日はシュートが大当たりだった14番Longが助けて、
終わってみれば意外な大差がつき、最終スコアは72-55で中国が勝ちました。

この結果、今日の7-8位決定戦はメキシコ対GB、5-6位決定戦はカナダ対中国となります。
ロンドンまで長い時間をかけて準備してきたGBには残念な結果となりましたが、
メキシコもけして弱くはないので、最後までいい試合を見せてほしいと思います。

さてさて、準決勝の2試合はどちらも本当におもしろいゲームでした。

準決勝第1試合はオーストラリア対アメリカ。
アメリカは前回北京パラリンピックのチャンピオンという誇り(ともしかしたら少しプレッシャー?)を持って、
オーストラリアはここ最近のパワフルな勢いをそのままぶつける形で、
両者の対戦は始まりました。

試合は序盤からどちらかといえばオーストラリアのペース。
自慢のオールコートプレスに
アメリカもなかなかシュートチャンスを得られません。
前半から24秒OTを連発。
タイムアウトをとってブレークを修正し、
逆にカウント後のプレスをかけて流れを取り戻そうとするアメリカ。
対して、シュートチャンスは多いもののなかなか決めきれないオーストラリア。
試合をみているとオーストラリアがペースをとっているように見えるのですが、
前半終わってみると26-26の同点。

後半に入り、オーストラリアのディフェンスがさらに強くなったことに
アメリカが苦しみます。
なんと、このクォーター残り53秒までアメリカの得点は無し!
この間に10点を積み上げたオーストラリアが、38-28とリードを広げて最終クォーターへ。

このまま終わるのか!?と思いきや、さすがにそこはディフェンディんぐチャンピオンのアメリカ。
今度はオーストラリアに第4Q残り2分26秒まで得点をゆるさず、じりじりっと追い上げます。
最後はエンドゲーム。
40-39で残り27秒となったところでオーストラリアは後半3回目のタイムアウトをとってしまいます。
個人的には、1点差で勝っていてまだ27秒もあるので、ここのタイムアウトは我慢な気がしますが…。
そしてこのタイムアウトでファールゲームにいく確認をしたアメリカ。
この時点でチームファールは3つでしたが、タイムアウトあけてわずか2秒でチームファールを2つ増やして、
準備を整えました。
(今回の審判はファールゲームを容認しているのか、そのようなシチュエーションになると簡単に笛を吹いてくれます)

チームファール5つ目のファールはオーストラリアの今やエース格に成長した15番・Merrit。
チームで一番背の高い彼女がフリースローを打つことで、オーストラリアのリバウンドはちょっと弱くなります。
そして不可解なのは、このフリースローの直前にオーストラリアは13番・Stewartを下げて小さい14番のHillをコートに入れたのです。
この時のラインナップはMerrit, Hill, Chaplin、Nott、Gauch.
なぜここでリバウンドが弱くなるリスクを冒してでも小さくて速い選手だったのか?
それをみたアメリカは、ここで中心選手のクラス3.5 Desi Millerに代えて、
背の高い高校生プレーヤーのHollermann(クラス3.5、今年のイリノイジュニアエリートキャンプで見ました)を投入。

緊張のフリースローは…2本ともミス。
残り24秒でマイボールとなったアメリカ。ショットクロックぎりぎりで放ったHollermannのシュートは
惜しくもはずれましたが、
オフェンスリバウンドを拾ったNicolsのショットは見事にシュートイン!

Hollermannのシュートは24秒以内に放ったように見えたのでアメリカ大逆転!!!と思いましたが、
Hollermannのシュートがショットクロックがなった後のシュートとみなされ、
このNicolsのゴールは幻に…。
生で見ていて、これはシュート決まったなと思ったのですが…。
この時点でオールタイマーは残り1.9秒。

もしアメリカのゴールが認められていたら、逆転されて残り1.9秒。
タイムアウトも残っていないオーストラリアに、果たして再逆転できたでしょうか…。
大変勉強になった一戦でした。

もう一つの準決勝はドイツ対オランダ。
ヨーロッパの試合で時々ドイツに勝利しているオランダは、
この対戦組み合わせは願ったりかなったりだったのではないでしょうか。
立ち上がりこそドイツが8-0と一気にリードを取りますが、
オランダのプレスが徐々に効いていきます。
プレスブレークで抜け出したドイツ7番Mullerのレイアップはことごとく決まらず、
オランダ6番Visser(19歳・すごい1点)の大活躍もあり、
前半はオランダが29-24とリードを奪って後半へ。

第3Qも一進一退のゲーム展開でしたが、終盤もつれることを見越してか、
両チームともタイムアウトはとらずにメンバー交代でしのぎます。
第3Q終了時点で37-36とオランダのリードはわずか1点。

最終クォーターに入り、ここぞのMohnenn,そしてZeyenがシュートを決めて
44-47となった残り1分37秒でオランダが後半2回目のタイムアウト。
ここからエンドゲームが始まります。
この時点でチームファールは互いに2つずつ。
次のオフェンスでオランダのシューター4番Huitzingがミドルシュートをねじ込んで46-47とし、
ドイツ後半1回目のタイムアウト。
残り時間は1分25秒ですが、まだオランダはファールゲームには行きませんでした。
一本いいオフェンスをして、決まらなければファールで時計を止めろ、という指示が出ていたのでしょう。
わるくない形でボールを回し、残り38秒で14番De Roojiが放ったシュートはリングに嫌われ、
すかさず4番Huitzingがファール。
残り時間は37.9秒、ドイツボールとなったところでドイツ後半2回目のタイムアウト。
このタイムアウト後もまだ1点差ということでファールゲームにはいかず、
一回ドイツにオフェンスをさせ、そこにプレッシャーをかけてシュートを落とさせて
残り10数秒のオフェンスにかける、という作戦でした。

オランダの狙い通り、ドイツ10番Schuenemannの放ったシュートは外れたのですが、
そこに飛び込んできたのはドイツ8番Zeyen.
オフェンスリバウンドを取られてしまったオランダはすかさずファールに行きます。
この時残り時間は9秒。
まだオランダのチームファールは3つ。

見事だったのはここからの展開。
わずか1秒ほどで、オランダはファールを2つ増やし、ここからファールゲーム。
ドイツが得たフリースローは大エースMohnenが打ちましたが、1本目を決めて2本目を外し、
時計を流そうとします。
しかも運の良いことにリバウンドはドイツへ。
オランダはもう一度ファールをしてフリースローを打たせます。
シューターはまたもやMohnen。
1本目は外しましたが今度は2本目を決めて、残り5秒で46-49とドイツ3点リード。
オランダは最後のタイムアウトを取って残り5秒での同点を狙いましたが、
最後のシュートは惜しくも外れ、そのままタイムアップ。

いやー、見ごたえのある女子準決勝でした。

男子準決勝は、すみません時間がないので簡単に結果だけ。

オーストラリア対アメリカは72-63でオーストラリアの勝ち。
アメリカも一時かなり王者オーストラリアを追い詰めましたが、最後は突き放されてしまいました。
もう一つの準決勝はイギリス対カナダ。
序盤はイギリスのペースでしたが、後半一気に突き放したカナダが52-69で勝利し、
決勝にコマを進めました。

この結果、今日の組み合わせは、

女子7・8位決定戦 メキシコ対イギリス
女子5・6位決定戦 カナダ対中国
女子3位決定戦   アメリカ対オランダ
女子決勝     ドイツ対オーストラリア

です。
このほかに、男子の5-8位クロスオーバーもあります。
ビデオオンデマンドでも見られると思いますので是非ご覧ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

Jキャンプスタッフ、広報担当 2007年からNO EXCUSEを撮影し始め、車椅子バスケットボールに関わり始める。 Jキャンプ2008に撮影ボランティアで参加し、その後スタッフになり、 チャンスがあれば海外大会への観戦・取材にも飛んでいく。 【2008年・中国】北京パラリンピック 【2010年・中国】広州アジアパラ競技大会 【2011年・韓国】ロンドンパラリンピックアジア・オセアニア地区予選 【2012年・イギリス】ロンドンパラリンピック 【2013年・アメリカ】全米大学車椅子バスケットボール選手権大会